第30章 彼を離れたら麺しか食べられない

彼女に「解雇」された数人の役員は、長谷川栞が横領やリベートの受け取りを突き止めた連中にすぎない。

見せしめにして今野さんへ釘を刺した結果、今野さんはファイルひとつ開くことすらできなくなった。

「若社長、近藤さんたちの辞表は提出済みです。人事部の会議室でお待ちです」

葉山がノックして入ってくる。腕には分厚いファイルの束。

「株式譲渡契約書も用意できています」

長谷川栞は席を立った。

それから三十分後。

会議室を出てきた近藤たちは、さっきまでの憤りが嘘みたいに顔色が明るい。どこか浮き立った気配すらある。

長谷川栞が自分たちを刑務所送りにする、と腹を括っていたのだろう。ところが彼女...

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